
LTV最大化でQoo10の利益を伸ばす|リピート率と単価を上げる5つの施策
「Qoo10でセールのたびに売上は上がるけど、同じ顧客が繰り返し買ってくれない…」
「新規顧客の獲得コストが高くなってきて、利益が出にくくなっている…」
Qoo10でショップを運営している方の多くが、このような悩みを抱えているのではないでしょうか。
実はこの問題の解決策は「LTV(顧客生涯価値)の最大化」にあります。
本記事では、Qoo10におけるLTVの課題から具体的な改善策まで、わかりやすく解説します。
売上の安定と収益性の向上を目指すQoo10ショップオーナーの方は、ぜひ最後までお読みください。
1.なぜQoo10ではLTVが下がりやすいのか
Qoo10は優れたECプラットフォームですが、ビジネスモデルの特性上、LTVが下がりやすい傾向があります。
なぜQoo10では他のECプラットフォームと比較してLTVが低くなりがちなのか、その原因を分析していきましょう。
- メガ割やメガポ依存の一過性の集客になりやすい
- 価格訴求が中心になってしまう
- リピート設計できる機能が少ない
(1)メガ割やメガポ依存の一過性の集客になりやすい
Qoo10の大きな特徴は「メガ割」や「メガポ」などの大型セールイベントです。
これらのイベント時には多くの顧客が集まり、短期的な売上アップが期待できます。
しかし、このようなイベントに依存したビジネスモデルでは、セール目当ての一過性の顧客が多くなりがちです。
これらの顧客はセール時に安く購入するのが目的であり、通常時に定価で商品を購入しない可能性があります。
このため、イベント間の売上が不安定になり、結果的にLTVの低下につながりやすいです。
イベントで獲得した顧客を通常期にも購入してくれる固定客に変えることができれば、Qoo10での顧客のLTVを向上させられます。
(2)価格訴求が中心になってしまう
Qoo10のマーケットプレイスでは価格比較が容易なため、価格競争に陥りやすいです。
多くのショップが価格訴求を中心にした販売戦略を取るため、顧客も価格を重視して購入を決める傾向が強くなるからです。
このような環境では、価格以外の価値(品質、サービス、ブランド等)が伝わりにくく、顧客のロイヤリティ形成が難しくなります。
価格だけで顧客を獲得すると、より安いショップが現れた時点で顧客は流出してしまう可能性が高くなります。
そのため、価格競争から脱却し、独自の価値を訴求することが、LTV向上には不可欠な要素です。
(3)リピート設計できる機能が少ない
Qoo10のプラットフォームは新規顧客の獲得に優れていますが、リピート購入を促す機能はさほど多くありません。
EC自社サイトなら実装できる定期購入機能や、商品同梱用のオリジナルリーフレットなど、リピート購入を設計する仕組みが少なめです。
また、顧客データの活用にも制限があり、自社サイトのように詳細な購買履歴に基づいたパーソナライズされたマーケティングが難しい面があります。
商品発送時に独自のサンキューカードを同梱するなどの工夫はできますが、システム面での制約があることは事実です。
こうした制約の中でも、プラットフォームの機能を最大限に活用し、独自の工夫を加えることでLTV向上を図る必要があります。
2.そもそもLTVとは?
効果的な対策を講じるためには、まずLTVの基本概念を理解することが重要です。
- 顧客生涯価値の意味
- ECビジネスにおけるLTVの重要性
- 短期的売上とLTVの違い
(1)顧客生涯価値の意味
LTVは、1人の顧客が生涯(または一定期間)にわたってもたらす経済的価値を表す指標です。
単純に言えば、「1人の顧客から得られる総収益」と考えることができます。
初回購入時の売上だけでなく、リピート購入や紹介による間接的な売上も含めた総合的な価値のことです。
ECビジネスにおいては、顧客獲得コストの高騰により、1回の購入だけでは利益を出せないケースも増えています。
そのため、継続的な購入を促し、1人の顧客から長期にわたって利益を得ることの重要性が高まっているのです。
(2)ECビジネスにおけるLTVの重要性
ECビジネスでは実店舗と異なり、顧客との物理的な接点が限られています。
このため、顧客との関係性構築が難しく、競合への乗り換えも容易です。
そのような状況下で事業を安定させるためには、1度獲得した顧客との関係を長期的に維持し、継続的な収益を確保することが重要です。
LTVが高いビジネスモデルでは、新規顧客獲得に多少コストがかかっても、長期的には十分な利益を確保できます。
また、既存顧客へのマーケティングコストは、新規顧客獲得コストの1/5程度と言われており、効率的な経営にもつながります。
(3)短期的売上とLTVの違い
短期的な売上重視のアプローチとLTV重視のアプローチの違いについても理解しておきましょう。
短期的な売上を追求すると、値引きやセールに依存した一過性の販売戦略に陥りやすく、結果的に収益性が低下する恐れがあります。
一方、LTVを重視するアプローチでは、顧客との長期的な関係構築に焦点を当て、継続的な価値提供を目指します。
例えば、初回購入時の利益は少なくても、リピート購入や顧客紹介によって長期的な収益を確保する戦略です。
短期的には売上が低く見えても、長期的には安定した高収益ビジネスが構築できるのが、LTV重視のアプローチの強みです。
3.なぜLTV最大化が注目されているのか
近年、ECビジネスにおいてLTV最大化が注目されている背景には、いくつかの重要な市場環境の変化があります。
これらの変化を理解することで、LTV戦略の重要性がより明確になるでしょう。
- 広告費の高騰
- 人口減少による市場の縮小
- 新規顧客獲得の難化
(1)広告費の高騰
近年、デジタル広告市場では広告費が急速に高騰しています。
特にGoogle広告やSNS広告のCPC(クリック単価)やCPM(1000インプレッション単価)は年々上昇傾向にあります。
2023年と2022年を比較すると、一部の業界では広告費が30%以上上昇したというデータもあります。
こうした状況では、新規顧客の獲得コスト(CAC)も上昇し、1回の購入だけでは利益が出せないケースが増加しているのが現実です。
このような広告費の高騰に対抗するためには、1度獲得した顧客から継続的に収益を得るLTV戦略が不可欠となっています。
(2)人口減少による市場の縮小
日本では人口減少が進んでおり、消費市場全体が縮小傾向にあります。
総務省の統計によれば、2022年の日本の総人口は前年比で60万人以上減少しており、この傾向は今後も続くと予想されています。
人口減少に伴い、新規顧客の絶対数も減少するため、顧客1人あたりのLTVを最大化することがますます重要になっています。
既存顧客との関係を深め、LTVを高めることで、市場の縮小に対応した持続可能なビジネスモデルを構築しなければなりません。
(3)新規顧客獲得の難化
デジタルマーケティングの成熟化に伴い、消費者はインターネット広告に慣れ、「ああ広告ね」とある種冷めた目で広告を見るようになってきました。
これにより広告のクリック率(CTR)は全体的に低下傾向にあり、効果的な新規顧客獲得が難しくなっています。
また、プライバシー保護の強化(iOS14のアップデートなど)により、ターゲティング精度も低下しつつあります。
こうした環境変化により、新規顧客獲得の効率は全体的に悪化しており、既存顧客からの収益最大化がより重要になっています。
新規顧客獲得に過度に依存するビジネスモデルでは、持続的な成長が難しくなっているのが現状です。
4.LTVの計算方法とは?ビジネスモデル別にやさしく解説
LTVを最大化するためには、まず現状のLTVを正確に測定することが重要です。
ここでは、実用的なLTVの計算方法と、その活用方法について解説します。
- 基本の計算式|平均購入単価×購入回数×継続期間
- LTVとCACの関係|獲得コストと釣り合うかが重要
(1)基本の計算式|平均購入単価×購入回数×継続期間
LTVの最も基本的な計算式は以下の通りです。
LTV = 平均購入単価 × 平均購入回数 × 平均継続期間
この式はECや単品通販など多くのビジネスモデルで一般的に使われる基本形です。
例えば、5,000円の商品を顧客が平均2回購入し、2年間継続してくれる場合、LTVは以下のように計算できます。
5,000円 × 2回 × 2年 = 20,000円
このシンプルな計算式の利点は、改善ポイントが明確になることです。
LTVを高めるためには、「単価を上げる」「購入回数を増やす」「継続期間を延ばす」という3つの方向性があることがわかります。
自社のビジネスモデルに合わせて、どの要素に重点を置くべきかを検討することが戦略立案の第一歩となります。
(2)LTVとCACの関係|獲得コストと釣り合うかが重要
LTVの分析で重要なのは、CAC(Customer Acquisition Cost:顧客獲得コスト)との関係です。
CAC = 顧客獲得のためのマーケティング費用 ÷ 獲得した新規顧客数
例えば、100万円の広告費で100人の新規顧客を獲得した場合、CACは1万円となります。
このデータをもとにビジネスの健全性を保つためには、LTVがCACを上回っている必要があると言われており、一般的にはLTV ÷ CAC が3以上になるのが理想的です。
つまり、顧客獲得にかかったコストの3倍以上の価値を顧客から得られるビジネスモデルが望ましいということです。
この比率が2を下回ると広告効率が悪化していると考えられ、マーケティング戦略や商品設計の見直しが必要かもしれません。
LTV/CAC比は、広告出稿の判断基準や継続的な投資判断の重要な指針となるので、定期的にこの指標を確認し、ビジネスモデルの健全性を評価することをおすすめします。
5.Qoo10のLTVを最大化する方法
Qoo10の特性を理解した上で、具体的にLTVを最大化するための戦略を見ていきましょう。
ここでは、具体的にQoo10のLTVを最大化する方法を紹介します。
- ストアフォローを増やす
- リピート購入を設計する
- 購入単価を上げる
- カスタマー対応品質を上げる
- レビューをLTV化する
(1)ストアフォローを増やす
Qoo10のストアフォローを増やすことは、LTV向上のための大切な一歩です。
フォロワーになってくれた顧客には、新商品情報やセール情報を直接届けることができるので、リピート率が上がるためです。
フォロワーを増やすための効果的な方法としては、以下のような方法を実施してみましょう。
まず、商品購入者にフォロー特典を提供するという方法があります。
例えば、「ストアフォローで次回使える10%OFFクーポンをプレゼント」といった特典をつけることで、フォロワーを増やしてリピート率を上げられるでしょう。
また、商品発送時にサンキューカードを同封し、フォローのメリットを伝えることも有効です。
さらに、定期的にフォロワー限定セールを開催すれば、フォローするメリットを感じてもらえます。
ストアフォローは顧客とのつながりを維持する重要なチャネルなので、積極的に増やす施策を実施しましょう。
(2)リピート購入を設計する
計画的にリピート購入を促す仕組みを作ることが、LTV向上の鍵となります。
Qoo10には定期購入機能はありませんが、工夫次第でリピート購入を促進できます。
例えば、消耗品を販売している場合は、使用予測に基づくリマインダーメールを送ることができます。
「〇〇をご購入いただき、ありがとうございました。そろそろ残りが少なくなる頃かと思いますので、再購入用のクーポンをお送りします」というようなメッセージは効果的です。
また、シリーズ商品を展開している場合は、関連商品の案内やサンプルを同梱すると次回購入につながりやすくなります。
Qoo10の機能を最大限に活用しながら、顧客の購入サイクルに合わせたコミュニケーション設計が重要です。
(3)購入単価を上げる
LTV向上には、1回あたりの購入単価を上げることも効果的な戦略です。
セット商品の提案、まとめ買いクーポンの提供、オプション選択肢の拡充などが有効です。
例えばセット商品では、関連性の高い商品をバンドルして、単品購入よりもお得感のある価格設定をしましょう。
「スキンケア3点セット」や「夏物衣料コーディネートセット」などの提案は客単価アップにつながります。
まとめ買いクーポンについては、「2点以上購入で10%OFF」「3万円以上の購入で3,000円OFF」といった設定で、お得感を演出しましょう。
また、商品のオプション選択肢を増やすことで、顧客のニーズに合わせたアップセルが可能になります。
基本機能に加えて、プレミアム機能を選べるようにしたり、保証期間を延長するオプションを付けたりする方法が考えられます。
(4)カスタマー対応品質を上げる
Qoo10では、Qpost(キューポスト)という機能を通じて顧客とコミュニケーションを取ることができます。
このカスタマー対応の質が、顧客のリピート購入意向に大きく影響するため、Qpostへの返信は迅速かつ丁寧に行うことを心がけましょう。
できれば24時間以内、理想的には数時間以内の返信が顧客満足度向上につながります。
また、単に質問に答えるだけでなく、顧客の状況に合わせた提案や追加情報を提供すると好印象を与えることが可能です。
例えば、商品の使い方についての質問には、基本的な回答に加えて「こんな使い方もおすすめです」といった付加価値情報を提供するとよいでしょう。
特に問題解決を求める問い合わせには真摯に対応し、必要であれば電話で対応をするなど、顧客への対応を第一に考えて対応するようにしてください。
(5)レビューをLTV化する
Qoo10ではレビュー機能が充実しているので、これを利用してLTV向上を目指す方法もあります。
写真付きレビューは特に効果的で、実質的な「販売員」として機能することもあるので、活用しない手はありません。
まず、顧客にレビュー投稿を促す仕組みづくりのために、投稿者には次回使えるクーポンや特典を付与しましょう。
特に写真付きレビューは説得力があるので、写真付きレビューの投稿とテキストのみの投稿には特典の差をつけるのがおすすめです。
レビュアーを大切なVIP顧客として扱うことで、長期的な関係構築が可能になるので、ぜひ実践してみてください。
6.効率的にLTV最大化を目指すならコンサル利用がおすすめ
LTV向上のための施策は多岐にわたり、社内リソースだけで対応できない方もいるでしょう。
そのような場合は、ECモールの運用に特化したコンサルを利用するのがおすすめです。
- ネットショップ運用ノウハウを利用してLTVを最大化できる
- 計算が煩雑な数値の管理も任せられる
- リピート施策についてのノウハウを共有できる
(1)ネットショップ運用ノウハウを利用してLTVを最大化できる
ECコンサルタントは、様々なショップの運営経験から得た知見を持っています。
成功事例や失敗事例の分析をもとに、自社ショップに最適なLTV向上策を提案してくれるでしょう。
特に、Qoo10特有の機能や制約を理解したコンサルタントであれば、プラットフォームの特性を活かした戦略立案が可能です。
また、市場トレンドやライバルショップの動向についても情報を提供してくれるため、ライバルよりも早く有益な情報を確保するのにも役立ちます。
(2)計算が煩雑な数値の管理も任せられる
LTVやCACなどの指標の計算や分析は、専門知識と経験が必要であり、慣れないとうまく計算できません。
特に複数の商品カテゴリーや顧客セグメントごとの分析となると、かなり煩雑な作業になります。
コンサルタントはこうした数値管理のプロであり、効率的に分析を実施し、データの収集方法や分析ツールの選定についてもアドバイスが得られるでしょう。
また、分析結果を視覚的にわかりやすくまとめたレポートも出してくれるので、分析作業はかなり効率化するはずです。
Qoo10の運用に欠かせない競合分析、市場分析の方法についてはこちらを参考にしてください。
(3)リピート施策についてのノウハウを共有できる
リピート購入を促進するための施策は、業種や商材によって大きく異なります。
コンサルタントは様々な業種のショップ運営をサポートした経験から、効果的なリピート施策のノウハウを持っています。
メール配信のタイミングやコンテンツのクリエイティブ、特典設計など、細部にわたるアドバイスをしてくれるので、自社では思い付かないようなアイデアを教えてもらえる可能性があるでしょう。
こうしたノウハウを社内に蓄積していくことで、最終的に自社でECモールの運用を内製するための下地が作れます。
Qoo10の運用をコンサルに依頼したいと考えている方は、こちらの記事をご覧ください。
まとめ
Qoo10でのLTV最大化は、ショップの継続的な成長と収益性向上に不可欠な戦略です。
本記事で解説したように、Qoo10には「メガ割依存の一過性の集客」「価格訴求中心の傾向」「リピート設計機能の制約」などLTVを下げやすい特性があります。
もっとも、「ストアフォローの増加」「リピート購入の設計」「購入単価の向上」「カスタマー対応の質の向上」「レビューのLTV化」といった施策を組み合わせることで、これらの課題を克服することが可能です。
しかし、リソースの問題でLTV向上施策の実施が難しかったり、そもそもやり方が分からなかったりする方もいるでしょう。
そのような場合は、専門のECコンサルタントへの相談も選択肢の1つです。
LimeLight株式会社はQoo10の運用知見を持った専門家が集まった、Qoo10コンサル・運用代行会社です。
LTVの最大化のための施策、その他の分析作業や出店支援まで幅広いサポートを提供しています。
Qoo10でのLTVが伸び悩んでいる方は、ぜひご相談ください。